研究課題
RNAヘリカーゼの一種であるp68は二本鎖RNAを巻き戻す作用の他、ERのコアクチベーターとして機能することが明らかとなっている。また最近ではp68が骨代謝に重要な影響を及ぼす因子であるBMPと協調的にmicroRNAの生成にも関与していることも報告されている。このように、p68はエストロゲンシグナルやBMPシグナル系を介して、骨代謝に作用する可能性が強く示唆されているが、その詳細は不明な点が多い。そこで本研究では1)Cre-loxPシステムによる細胞種特異的KOを作製するためのp68floxマウスの樹立、2)骨芽細胞特異的Cre発現マウスとの交配による骨芽細胞特異的KOマウスの作製と解析、3)破骨細胞特異的Cre発現マウスとの交配による破骨細胞特異的KOマウスの作製と解析を行う。最終的に各KOマウスの解析から得られた結果を比較・検討することで、骨におけるp68の機能の解明を目指す。これらの成果により、骨代謝の新たな制御機構の解明と共に、骨関連疾患に対する新たな治療法確立への応用が期待できる。p68 floxマウス作製にあたり、まずin vitroにおいてp68が骨芽細胞分化に影響を与えるかについて解析を行った。マウス線維芽細胞由来MC3T3-E1細胞を用い、siRNAでp68をノックダウンすると骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼの活性が低下した。またp68と非常によく似た分子であり、RNAヘリケース活性を有するp72についても同様の解析を行ったところ、p72も骨芽細胞分化に影響を及ぼすことを明らかにした。以上のように、p68が骨代謝において重要な役割を果たす可能性を見いだした。
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細胞工学
巻: 30 ページ: 243-247
Differentiation
巻: 80 ページ: 46-52