研究課題/領域番号 |
22689043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中江 文 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60379170)
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キーワード | 眼窩下神経絞扼モデル / メチル化 / BDNF / 大規模シークエンサー / スプライスバリアント / 定量PCR |
研究概要 |
この研究はDNAメチル化を始めとした遺伝子後修飾(エピジェネテイクス:epigenetics)が神経因性疼痛のメカニズムにどのように影響するか調べることを目的とする。そのために、ラットで眼窩下神経絞扼モデルを作成し、遺伝子の発現変化にepigeneticな変化がどのように影響を及ぼしているのか明らかにすることを目標にしている。 昨年度より引き続きBDNFに着目し、その各スプライスバリアントのプロモーター領域をinsilicoで予測し、その予測配列部分を含むようにプライマーの設計を行い、バイサルファイト処理を行ったと後、PCRプロダクトを60種類回収した。それらを大規模シークエンサーSolid4のマニュアルに従い、サンプルの調整を行い、実際の解析を行った。解析については、本学共同研究実習センター委託の解析業者の援助を受けた。その結果、PCRプロダクトにおけるメチル化は特にたんぱく質翻訳部位においてはメチル化率が顕著であることが分かった。一方、プロモーター領域のメチル化率は非常に小さい領域が多かったが、特にスプライスバリアントのうちexonI,IIの領域についてはそのメチル化パターンがクラスター解析により、ナイーブな何もしない動物からのサンプルと神経障害性落痛モデルサンプルを分けることが可能であった。このことは、(1)メチル化という変化がわずか障害を受けたのち2週間で起こり始めること。(2)そのメチル化パターン解析によって痛みを生じる障害の有無を判定できるバイオマーカーとなり得る可能性があること。上記2点が重要であり、現状神経障害性疹痛のバイオマーカーがないため、客観的診断指標がないという問題がこの研究からの成果で解決できる可能性を秘めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模シークエンサーによる解析を終了することができ、チップシークエンスの研究に着手できているため
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今後の研究の推進方策 |
今後は、クロマチン免疫沈降を行い、その産物のPCRプロダクトを大規模シークエンサー、もしくは定量PCRによって解析を行う。現在は細胞において実験条件の調整を行っているが、次には実際の痛みモデルの組織を解析する予定である。
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