研究課題
前年度までの研究により、網膜新生血管における内皮細胞の遊走運動がVEGFにより促進されるのに対してSema3Eにより阻害されることが明らかとなっている。本年度は、VEGFとSema3Eのシグナルを伝達する細胞内分子メカニズムを明らかにすることを目的に、低分子量G蛋白質RhoJの機能解析を実施した。培養内皮細胞ではPlexinD1受容体の細胞内ドメインにRhoJが結合するが、Sema3EがPlexinD1に結合するとRhoJがPlexinD1から遊離し、細胞内アクチン線維の脱重合および細胞-基質間接着の解離を誘導し、遊走運動を阻害することを明らかにした。次に、VEGFがVEGFR2受容体に結合するとPlexinD1と複合受容体を形成するが、RhoJはVEGFR2-PlexinD1複合受容体の形成にも必要であることが明らかとなった。このため、RhoJを欠失した内皮細胞では、VEGFR2のエンドサイトーシス経路、シグナル伝達、蛋白質変性が無秩序に進行するため、内皮細胞の運動方向が撹乱され、異常な血管網を形成する。これらの研究成果から、RhoJはVEGFとSema3E双方のシグナル伝達を制御することにより、網膜血管網の形態形成を調節すると考えられ、虚血網膜に機能的血管網を再生する治療ではRhoJが標的分子となりうる可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)
Genes Dev
巻: 26 ページ: 816-829
10.1101/gad.184481.111
J Clin Invest
巻: 122 ページ: 1991-2005
10.1172/JCI58832
PLoS ONE
巻: 7 ページ: e45858
10.1371/journal.pone.0045858