研究課題
人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床応用には、採取の容易な組織細胞からiPS細胞を効率よく作製する技術が重要となる。歯肉は歯科治療の過程で切除される機会の多い組織であり、切除歯肉片は一般的に廃棄されている。本研究の目的は、患者の口腔粘膜(歯肉)に由来するiPS細胞を移植材料として,歯槽堤再建の基盤技術を創生することである。前年度までに、成体マウスの歯肉由来線維芽細胞に山中4因子から癌遺伝子c-Mycを除いた3因子を導入することで容易にiPS細胞が樹立可能であることを見出し、樹立したiPS細胞から骨芽細胞への分化誘導法を確立した。本年度は、樹立したiPS細胞を効率的に骨芽細胞に分化誘導する方法を探索し、スタチン化合物がiPS細胞の骨芽細胞分化を著明に促進することを明らかにした。また、iPS細胞をN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)ゲル容器内で骨芽細胞へ分化誘導することで、三次元的に石灰化iPS細胞凝集体を作製する技術を確立した。このiPS細胞凝集体をSCIDマウス背皮下へ移植することで、石灰化iPS細胞凝集体が異所性に成熟した骨形成を導くことを明らかにした。さらに、試験管内におけるiPS細胞凝集体の作製時にスタチン化合物を添加することで、移植先における腫瘍(奇形腫)形成を完全に抑制することが可能であることが明らかとなった。本研究成果は、スタチン化合物を用いることで移植に安全なiPS細胞が得られる可能性を示唆しており、将来の歯槽骨増生術への応用が期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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