研究概要 |
1.RUNX1による軟骨初期分化・基質誘導のメカニズムの解析 RUNX1が2型コラーゲンやアグリカンなどの軟骨基質遺伝子を直接誘導することをReal-time RT-PCR解析によって確認した。本研究ではまずRUNX1が2型コラーゲンを直接誘導することを証明するために、ル氏フェラーゼアッセイを用いたプロモーター解析、electrophoretic mobility shift assay(EMSA), chromatin IP assay(ChIP)を行い、2型コラーゲンプロモーター領域におけるRUNX1の応答領域の同定を行った。RUNTX1は2型コラーゲンの発現を直接誘導するだけでなく、SOX5/SOX6/SOX9誘導を介して間接的に誘導する経路も考えられるため、マウス軟骨細胞や間葉系幹細胞を用いたin vitroの実験系において各転写因子の競合実験などを行い、それぞれの経路の重要性を検討した。 2.RUNX1による軟骨細胞の肥大化抑制のメカニズムの解析 Runt-related transcription factor(RUNX)ファミリーのうち、RUNX1のみが10型コラーゲンを強く発現抑制することを突き止めた。RUNXファミリーは四肢発生において必須の転写因子であり、これまでは骨芽分化に必須であるRUNX2が着目され、軟骨の肥大化、変形性関節症の病態においても強く発現することが報告されている(Arthritis Rheum 54:2462, 2006 etc)。しかし、RUNX1が特異的に軟骨肥大化抑制効果を持つことは着目すべき点であり、軟骨細胞の肥大分化抑制分子のプロモーター解析などを行い、応答領域の同定を行っている。さらにRUNX1siRNAなどを用いて軟骨細胞の肥大化制御の経路を解析している。
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