研究課題/領域番号 |
22689053
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩本 勉 東北大学, 大学病院, 講師 (90346916)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 象牙芽細胞 / 細胞間結合 / パネキシン |
研究概要 |
我々は歯の発生過程において、とくに象牙質形成を担う象牙芽細胞の分化に関わる分子群の同定を目的とし、バイオインフォマティカル解析手法を用いて遺伝子の同定を試みている。そこで、新奇細胞―細胞間結合蛋白質であるパネキシン3が前象牙細胞に強く発現していることを明らかにしてきた。 実際に歯の発生過程において、その発現細胞を同定するために、マウス胎児頭蓋切片を用いてin situ hybridization法を行い、パネキシン3 mRNAが、象牙芽細胞に発現し、とくに前象牙細胞に強く発現することを見出した。さらに、パネキシン3の特異的抗体を用いて免疫組織学的検討を行ったところ、パネキシン3は前象牙芽細胞において、細胞―細胞間のみならず、細胞―細胞外基質との間で強く発現することが明らかとなった。このことは細胞―細胞間において、ギャップジャンクション蛋白としての機能を有し、さらには、細胞―細胞外基質間において、ヘミチャネルとしての役割を有していることを示唆するものであった。 前象牙芽細胞におけるパネキシン3の機能を明らかにするために、歯乳頭由来細胞株mDP細胞を用いて解析を進めたところ、パネキシン3過剰発現細胞株において、細胞内のATPを細胞外に排出する機能が示され、このことはパネキシン3がヘミチャネルとしての機能を有していることが明らかとなった。さらに、細胞内ATPの排泄機構が前象牙芽細胞の増殖と分化に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り歯乳頭由来細胞株において、パネキシン過剰発現細胞株の作成に成功し、またsiRNAを用いた抑制系の作成にも成功した。これらの成果を用いることによって、in vitroの系におけるパネキシン3の機能解析を進めることができていることと、当初より予定していた欠損マウスの作成に関しては、共同研究者のNIH、NIDCRの山田吉彦博士の研究室で作成に成功し、欠損マウスを利用した本計画に関わる領域の解析は計画通りで進めており、おおむね順調に伸展していると判断します。
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今後の研究の推進方策 |
現在、In vitroにおけるパネキシン3の機能解析を中心に進めており、それを欠損マウスを用いることによって、in vivoにおけるその確認と機能解析を進めている。得られたデーターをまとめ、その成果を発表することと、同時にパネキシン3を利用した象牙芽細胞の分化誘導法の開発を進めていきたいと考えます。
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