研究課題/領域番号 |
22689055
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
山崎 松美 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (70454238)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 運動療法 / 患者教育 / 尺度開発 |
研究概要 |
本研究は、2型糖尿病患者の運動療法のとらえ方からみた運動療法看護教育プログラムの開発をし、介入研究により、その有効性を検証することを目的としている。今年度は、評価指標となる「運動療法とらえ方分類ツール」完成に向け、分析を再検討しながら信頼性と妥当性の検討を行い、論文執筆した。さらに、介入研究に向け運動療法看護教育プログラムの検討を行った。 昨年度、既に2型糖尿病患者296名(男性193名,女性103名,平均年齢62.6±9.6歳)に、「運動療法とらえ方分類ツール原案」の質問紙調査と、運動療法とらえ方パターンの分類判定のために面接調査を実施していたが、その後、面接調査によるパターン分類を基準とした基準関連的方法により、弁別力の高い質問項目を選定し、分析を進めた。その結果、24項目が採択され、内的整合性とItem-Total相関を確認したところ、最終的に21項目が採択され、ある程度の内的整合性が確認された(Cronbachのα係数0.54~0.76、全体0.88)。また、構成概念妥当性の検討として最終的に採択された項目を用いて、面接で判定された3つのパターンで得点を比較したところ、先行研究である質的研究で描かれた構造図どおりの構成が確認された。本ツールの開発により、先行研究の質的研究の結果を、量的に証明できたことになり、一般化して用いることのできる概念となった。同時に、開発されたツールは量的な評価指標として用いることができるようになり、今後の介入研究の評価指標として用いることができるものとなった。 運動療法看護教育プログラムの検討では、対象者とプログラム内容を検討し、対象を入院患者から外来糖尿病患者に変更し、外来介入で実施できるプログラムへと修正した。 今後は、運動療法看護教育プログラムによる介入を実施し、半年後の運動療法の実施率と本ツールでの評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究1段階目の評価ツールの作成に遅れが生じていたが、その評価ツールの論文採択までに更に期間を要し、評価ツールの項目を確定することができなかったため、次の段階に進むことができず、大幅な遅れが生じた。 また、研究計画書では、第2段階目の教育プログラムの評価に、無作為化介入試験による評価を計画していたが、無作為化介入試験を行うためには、プログラムの試行やパイロットスタディなどの段階をふむ必要があり、再度、研究計画の練り直しが必要になった。加えて、対象者を糖尿病入院患者として運動療法看護教育プログラムを作成していたが、糖尿病による治療が入院から外来中心へと移行してきたという社会情勢の変化もあり、外来患者に対する教育プログラムへと変更する必要性が生じ、それに伴い、研究施設の変更が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究2段階目となる「2型糖尿病患者の運動療法の捉え方からみた運動療法看護教育プログラム」による介入研究を行う予定であるが、当初の研究計画のように、無作為化比較試験を実施するには至っていないため、計画を変更した。無作為化比較試験を実施する前段階として、看護教育プログラムを実施し評価しながら、教育プログラムの修正を行い、運動療法看護教育プログラムの完成へとつなげる。また研究対象者も2型糖尿病の入院患者から、2型糖尿病により外来通院している外来患者へと変更したため、1日糖尿病教室として運動療法看護教育プログラムによる介入を実施する。評価は、プログラムによる教育介入を実施した3か月後と6か月後の外来受診時に実施する。この介入の主目的は、パイロットスタディを兼ねたプログラムの修正であるため、対象人数は1回の糖尿病教室10名程度とする。 有効性の評価には、運動療法行動の実施状況,1段階目で作成した運動療法とらえ方分類ツールとし、6か月後の状態を見て、プログラムを修正する。サブ解析として、運動継続にかかわる要因と運動療法実施状況の関係を分析する。その為、ベースラインでは筋力,動脈硬化指標の測定、血糖コントロール状況や、できれば運動時の血糖変動について評価する予定である。 今後起こりうる問題として、多職種による介入協力が必要なため、研究協力施設との調整に困難を生じる可能性がある。その場合は、1日糖尿病教室としての生活習慣介入をやめ、運動療法のみの介入へと変更することで対処する。
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