本研究は、家族介護者に対する科学的根拠に基づいた健康支援法を開発することを目的としている。平成25年度は、平成25年3月に終了した調査データのデータベースを作成するとともに、前回のベースライン調査結果も用い、介護が生活習慣病を発症させるメカニズムや尿中ストレス関連物質を上昇させるメカニズム等について分析を行った。 研究成果の一部である「在宅女性介護者における6年後の脂質に関する変化」について、介護者群は対照群と比較して、HDLコレステロール値の平均変化量が少ない傾向がみられ、介護者群と対照群では脂質に関する変化が異なると考えられたことや生活習慣の項目に関しては両群で変化がみられなかったが、乳類の摂取量が二次調査時点で増加していた者の割合は対照群と比較して介護者群で多く、脂質の変化に関係している可能性が考えられたことを学会で発表した。 「在宅介護者における6年後の健康関連QOLの変化」についても、以下の内容を学会で発表した。男性介護者群においてSF-8の下位尺度である全体的健康感と日常役割機能(精神)と心の健康の得点変化は、男性対照群とは有意な差がみられた。また、精神的サマリースコアにおいても、男性介護者群と男性対照群とは有意な差がみられた。その他の下位尺度は男性介護者群と男性対照群において有意差はみられなかった。男性介護者群と男性対照群とで違いがみられた下位尺度のうち全体的健康感は男性介護者群において上昇している者の割合が多いが、その他は低下している者の割合が多かった。よって男性介護者は介護を継続することにより精神的なQOLが低下するものの全体的健康感は高く、精神の低下について自覚していない可能性が示唆された。 今後も分析を続け、家族介護者に対する健康支援法を開発していく予定である。
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