研究課題
本年度も,引き続き,公開鍵暗号の安全性に関する評価を行った.主要なもので,以下の3つの成果をあげている.(1) RSA原理に基づく暗号である複数素数RSA-OAEPに関する評価を行い,安全性が担保される範囲を詳細に評価した.その結果,従来の研究では,安全とされていたパラメタ設定は,不適当であることを示し,より適切な限界を提示した.さらに,用いる素数の数が増えた時の漸近的な評価も行い,従来のアルゴリズムよりも,速い速度で限界に到達していることを示した.(2) RSA暗号に対する攻撃の一つ,「小さい秘密鍵に対する攻撃」に関する評価を行った.従来の問題を含む,より広いクラスの問題を定義し,その問題を多項式時間で解くアルゴリズムを提案した.さらに,適切な仮定の下での,提案アルゴリズムの最適性を示した.この仮定は,近似GCD問題が解ける範囲の限界に関するものである.この2つの限界に関しては,これまでは独立のものであると考えられてきたが,この成果により,密接に関連があり,どちらかが改良されれば,自動的に,もう片方の限界も改良されることを明らかになった.(3) RSA暗号の秘密鍵が,消失および誤りが乗った状態で得られた時に,元の秘密鍵を完全に復元するアルゴリズムの提案を行った.さらに,提案アルゴリズムにより,鍵の復元が可能となる範囲の詳細な評価を行った.ついで,原理的に,解を復元できるための理論限界を示し,提案アルゴリズムは,2次の近似項まで,理論限界を達成していることを明らかにした.以上の成果は,RSA暗号に付随した様々な問題に対して,より正確な暗号の安全性評価を与えており,より安全に,適切に,暗号技術を用いることが可能となった.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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