研究実施計画に基づき,近似GCDの主なアルゴリズムとして,QRGCD,ExQRGCD(QRGCDを本研究課題において改善したもので,国際研究集会ISSAC2013でポスター発表を,CASC2013にて口頭発表を行った),UVGCD,Fastgcdを,本研究課題で実装している数値・数式融合計算を行うC言語向けライブラリLIBSNAPに組み込みを行い,それぞれのアルゴリズムの評価を実施した。評価結果については,第22回日本数式処理学会大会とRisa/Asir Conference 2014にて報告した。その結果から,UVGCDとFastgcdには更なる改良が可能であることが判明しており,論文投稿に向けて準備中である。 実践的な近似代数の機能を提供するパッケージやライブラリの開発については,前述のLIBSNAPをウェブサイトにて公開している。投稿準備中の論文と関係するため,公開中のLIBSNAPには含まれない機能もあるが,主な近似GCDのアルゴリズムを統一された枠組みの中で,倍精度浮動小数点数による実数と複素数,多倍長浮動小数点数による実数と複素数などを係数に持つ多項式に対して実装している数少ないライブラリとなっている。特定の数式処理ソフトウェアに依存せず,汎用のライブラリとして実現しているため,近似代数計算を必要とする状況において,柔軟に利用可能という研究の目的を果たすことが可能となっている。なお,実装にあたり,幅広く使われている数値計算ライブラリに重大なバグを発見しており,それを改善するパッチもコミットした(結果,現在の開発版では修正されている)。
|