研究課題
本研究はSINR無線通信モデルのような通信電波の強度減衰や干渉,外部環境のノイズが発生するような不安定な無線通信モデルにおいて基礎理論を構築することを目標としている.電波の干渉により同時に通信可能なペアが限られるような状況は、一時的に計算機間の通信が途切れるため,上層のプロトコルにとってネットワークの動的変化としてとらえられる.本年度の目標として、昨年度までの研究成果の更なる発展と,ネットワーク変化が問題の可解性に影響を与えることから,無線ネットワークの変化を制御する手法の提案を挙げた.これらに対し,本年度は以下の成果を得た.1. 無線ネットワークに動的な変化が起こったとしても,通信のバックボーンとなる通信基盤を構築し続ける手法を提案した.提案した手法は,任意の動的変化や計算機の故障が生じたとしても非常に短期間で最低限のバックボーンを構築し,その後バックボーンの構造を最適化し安定する手法である.この手法を用いることで,動的変化が生じるネットワークであっても特定の条件を満たすバックボーンが存在することを想定することができる.2. 本研究テーマの成果のまとめ,および今後の発展を目指し,分散アルゴリズムの研究分野で非常に著名な研究者であるカナダ・オタワにあるCarleton大学のNicola Santoro教授を訪ね共同研究を行った.共同研究では,本研究テーマに対する意見交換と,今後の具体的な展望について議論した.その結果,計算能力の非常に低い(と思われていた)モデルで定式化される無線ネットワーク上である程度計算能力の高い無線ネットワークを想定したプロトコルをシミュレートできることを示した.これらの研究は,本年度学術論文誌へ2本掲載し,国際会議での1回発表を行い,その成果を発信している.またその他にも学術論文誌への2本の投稿を行っており,これらは条件付き採録を受け現在最終手続き中である.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
IEEE Transactions on Parallel and Distributed Systems
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences(Special Issue of Discrete Mathematics and Its Applications)
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