| 研究概要 |
本研究では,グラフ同型性判定問題(GI)やグラフ自己同型性判定問題(GA)といったグラフの同型性を問う問題に対して,それらの部分解を計算する問題の計算量の解析,制限されたグラフに対する効率的なアルゴリズムの設計,および他の問題への応用を与えることを目的とする.
本年度は,PrefixGIやPrefixGAを拡張した問題に対して,それらの計算量およびそれらの部分解を求める問題の計算量の解析を試みた.そのいくつかの問題について,NP-完全性,GI-完全性,GA-完全性が得られた.また,partial k-treesと呼ばれるグラフクラスについては,PrefixGIを解くためのアルゴリズムの計算量を改善した.GIやGAに関連した問題は他にも数多くあるため,次年度はそれらの部分問題を計算する問題の計算量の解明を目指す.
他の問題への、GIの応用として,手書き文字画像データから筆順情報を復元するためのアルゴリズムの設計を試みた.本年度は,入力を制限した部分グラフ同型性判定問題を応用することで,多画文字の筆順を復元するためのアルゴリズムを設計した.このアルゴリズムは,ダブル・トレースを含むような複雑な文字画像にも対応し,さらにこれまでに知られていたものよりも高速である.次年度は,ダブル・トレースどうしの交叉などより複雑な構造を持つ文字画像に拡張する予定である.
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