研究課題
本年度は、直径指定部分グラフ問題について検討を行った。直径指定部分グラフ問題においては、全体のグラフ構造の中から、指定された直径を持つ最大部分グラフを抽出することが目的である。ここで、指定する直径の値により、抽出される頂点群の例えば緊密度の指標が決定される。直径指定部分グラフ問題に対して、本年度に得た結果は、以下のようなものである。・一般のグラフ構造に対して、NP困難であることを示すとともに、どのようなアルゴリズムを用いても、ある近似値以上に良い解を得られないことを示した。・ある頂点から出発し、指定された直径の半分に位置する頂点までを全部抽出するという単純なアルゴリズムの性能について解析し、指定された直径の値が偶数の場合は、この単純なアルゴリズムの性能が最良である(すなわち、これ以上良い性能の近似アルゴリズムは存在しない)ことを示した。ただし、指定された直径の値が奇数の場合は、このアルゴリズムが出力する解と、近似値の下界の値は一致していない。このことは、このアルゴリズムの性能に関する解析が厳密でないこと、または、別のより良いアルゴリズムの存在を示唆している。・弦グラフやスプリットグラフといった特殊な構造を持つグラフに対しても、同様にNP困難かつ、近似も難しいことを示すとともに、上記のアルゴリズムの性能について解析した。以上の結果は、国際会議9^<th> Latin American Symposium on Theoretical Informaticsにおいて公表した。
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Proc.The 9th Latin American Theoretical Informatics Symposium, Lecture Notes in Computer Science
巻: 6034 ページ: 616-627