研究概要 |
本年度の実績の概要は以下の通りである. まず無向グラフの辺に向き付する問題において,指定された値 W に対し,出次数 W 以下,出次数 W 以上の頂点数を最大化または最小化することを目的とする4問題 Max W-Light, Min W-Light, Max W-Heavy, Min W-Heavy に対して研究を行った.まずアルゴリズムの観点から,Max W-Light と Min W-Heavy,木構造を葉から根に向かって順に辿りつつ処理を行うアルゴリズムが,木構造については最適解を与えることを示した.さらに Min 0-Light と Max 1-Heavy が多項式時間で最適解を得られること,ならびにW が1以上の時,Min W-Light に対して (W+1)-近似アルゴリズムを設計できること,また Max (W+1)-Heavy に対して (W+2)-近似アルゴリズムが設計できることを示した.また計算複雑さの観点から,Max 0-Light や Min 1-Heavy が良く知られた問題である Max Independent Set と Min Vertex Cover と本質的に同じ問題であることを示した.さらに 2 以上の W に対して,Min W-Light と Max (W+1)-Heavy は,入力を平面グラフに限定したとしても NP困難であることを示した. 他にも,グラフ構造中から最大の大きさを持つ正則グラフを発見する問題や,バッファを用いて列を並び替えることでコスト最小化を行う問題などに取り組み,それぞれ近似困難性や NP困難性などを示した. 以上の成果を学術雑誌と国内外の研究会等において公表した.
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