研究課題
今年度では、初年度から引き続き目的である「完全準同型ファンクショナル暗号」の構成に向けて、二つの成果で示した。一つ目の成果は研究実施計画の【A2】暗号アルゴリズムの構成法と【B2】安全性モデルおよび分析に関する研究である。主な成果は、広いクラスの高機能暗号を統一し取り扱い可能なファンクショナル暗号の構成法の提案である。この構成法はAdaptive securityという最強安全性を持つということを標準的なセキュリティモデルで理論的に証明した。この成果はJournal of Mathematical Cryptology(2011)という国際論文誌に採録された。二つ目の成果は研究実施計画の【C2】実用性の高いファンクショナル暗号に関する研究である。主な成果は、昨年度に引き続き、ファンクショナル暗号方式の一つの例である属性ベース暗号の効率の良い方式の構成法を提案した。昨年度では、アクセス制御可能な有料放送などが応用例となるキーポリシータイプという種類の属性ベース暗号を提案したが、今年度では最も難しいとされる、暗号文ポリシータイプという属性ベース暗号の効率の良い方式を提案した。このタイプの応用例はアクセス制御可能なパブリッククラウドなどである。この方式の特徴はファンクショナル暗号の高機能性を落とすことなく、方式の暗号文サイズが小さくすることが可能となった。これにより提案の暗号方式を効率よく実現することが可能となる。属性ベース暗号の研究分野において、本研究の提案方式が現在暗号文サイズと復号の計算量に関しては最も効率の良い方式である。この結果はTheoretical Computer Science(2012)という権威のる国際論文誌に採録された。
1: 当初の計画以上に進展している
研究の目的に向けて、二つの主な成果が得られ、権威のある国際論文誌に採録されたので、おおむね順調に進展していると考えられる。
最終的な目標である完全準同型性をもつ方式を得られるために、その分野を得意とする研究協力者を招いて共同研究を推進する。具体的にはフランスENSにおいて、本研究員が在外研究を行う予定である。具体的な内容としては格子理論を導入すると考えている。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Theoretical Computer Science
巻: Vol.422 ページ: 15-38
10.1561/0400000024
Journal of Mathematical Cryptology
巻: Vol.5 No.2 ページ: 115-158
10.1515/jmc.2011.008