研究概要 |
組合せテストはソフトウェア/ハードウェアのテスト手法の一つである.この手法の特長は,欠陥の多くは少数のパラメータの組み合わせによって発生するという観測を元に,テストケースの増大を回避し,現実的かつ効果的なテストを行える点である. 本研究の目的は,SATソルバー等の様々な論理推論エンジンを用いて,組合せテストのテストケースを効率よく生成することである.2010年にKuhnらによって提案されたEvent Sequence Testingは,イベント駆動型ソフトウェアに適した組合せテストである.このEvent Sequence Testingのテストケース生成問題は,Sequence Covering Array (SCA)と呼ばれる配列の構成問題に帰着できることが知れている. 本年度は,SCA構成問題の制約モデルを3つ提案した.なかでも,結合行列モデルは,SCAを(0,1)-行列で表現し,SCAのカバレッジ制約を各列に対する基数制約として簡潔に表現することができる.SAT型制約ソルバーSugarを用いて,小中規模のSCA構成問題に対する実行実験を行った結果,提案モデル(特に,結合行列モデル)は多くの問題に対して,既知の上限を更新することができた.さらに,2つの問題に対して,その最適値を決定することに成功した. また,組合せデザイン分野の代表的な問題である釣合い型不完備ブロック計画に関しても,SAT技術を用いた効率的な解法の研究,および実行実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,おおむね順調に進展している.これまで,組合せテストのテストケース生成問題に対して,SATソルバー,制約ソルバーを用いた解法の研究を行った.得られた成果は,国際会議LPAR,並びに,日本ソフトウェア科学会,人工知能学会等の国内学会で研究発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成24年度は,組合せテストのテストケース生成問題に対して,解集合プログラミングを用いた解法に関する研究を行う予定である.解集合プログラミングは,Prologに代表される従来の論理プログラミングの自然な拡張であり,近年SATソルバー,制約ソルバーに採用されている最先端の実装技術を応用した高速なソルバーが開発されている.
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