研究概要 |
インターネット上のオープンソース開発サイトから,開発成果物であるソースコードとその変更イベント情報の収集を行い,データの整理とデータベース化を行った.そして,得られたデータの時間的変化動向に対していくつかの非同次ボアソン過程モデルによる当てはめ実験を行い,さらにはそこからコード変更事象の予測モデル構築を検討した. 成果としては,EclipseやJFreeChartといったオープンソースソフトウェア(16種)について,そのコードリポジトリから各リビジョンのソースコードを取得し,前リビジョンとの差分抽出及び変更量の測定を行い,変更日時とともにデータベース化した.そして,コード変更事象の発生動向並びに変更量の推移に対して非同次ボアソン過程に基づいたいくつかの成長曲線モデルの当てはめ実験を行い,その中で習熟S字形モデルが比較的良好な当てはまりを見せることが分かった.さらには同モデルを使ってコード変更事象の予測実験を行ったところ,数ヶ月先のコード変更回数や変更行数を10%程度の誤差で予測可能という結果が得られた,これらの成果について,国際会議(Joint Conference on Knowledge-Based Software Engineering 2010)や電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会,情報処理学会ソフトウェア工学研究会ウインターワークショップ等にて合計4件の口頭発表を行い,成長曲線モデルを利用してソースコードの変更事象を予測するというアイデアについて有益な議論を行うことができた.その他,コード中のコメント文記述が品質に及ぼす影響についても研究を並行して進め,2件の口頭発表を行った.
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