研究概要 |
Googleが2004年に提案し,その後広く研究および利用されるようになってきたMapReduceフレームワークに関連して大きく2つの研究を行った.ひとつは「そのフレームワークをそれまであまり扱われていなかったリスト構造(順序のあるデータ)に適用できることを示した(EuroPar2011)」ことであり,またもうひとつは,「より複雑な正規表現のマッチング計算が,MapReduceフレームワークで実現できることを示した(情報処理学会論文誌プログラミング)」ことである.これまで,MapReduceは集合のような単純なデータ構造上の比較的単純な処理に用いられることが多かったが,これらの成果を応用することによりより複雑な処理も系統的にMapReduceフレームワークで実現できることになる. また,並列計算の理論的研究について,木構造データに対する並列計算の理論的定式化について成果を得た.既存のTree Contractionアルゴリズムを薔薇木向けに改良したアルゴリズムの提案(ICCS2011),および,二分木上の並列計算に対する新しい定式化の提案(ICFP2011)をそれぞれ発表した.これらの成果は,木構造データに対する並列計算を系統的に行う上で,その理論的根拠を与えるものとなることが期待される.
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