研究概要 |
研究全体としては,クラウドコンピューティングで用いられる仮想計算機環境においてI/OスケジューラとI/Oサブシステムを改善し,I/O性能の向上を達成し,これにより統合サーバ数の向上を実現し消費電力を削減することを目的としている.本年度は,PCクラスタ上に仮想計算機環境を構築し,小規模な仮想計算機型のクラウド環境を構築した.そして,本クラウド環境に対して,申請者が過去の研究で開発したOSカーネルモニタを適用し,OSの動作を観察できるようにした.この適用によりOS内部で起きたイベント(I/Oの発行,エラーなど)の観察,I/O処理のトレース(分岐の追跡,I/Oの分裂と結合の追跡など),I/Oのボトルネック箇所の自動抽出などが可能となった. 次に,本クラウド上でI/Oベンチマークソフトを動作させ,カーネルモニタによりその動作を確認し,既存のI/Oスケジューラ使用時の性能の調査,複数仮想計算機時に性能が低下する理由の考察,既存のI/Oスケジューラの問題の調査を行った.この調査により性能劣化原因がホストOSにおける処理対象仮想計算機の切り替えにあるかことが明らかになり,仮想計算機の切り替えを抑制することにより小規模クラウド環境におけるI/O性能の向上,省電力化が達成された.
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