研究概要 |
平成23年度は,ゲストOS(仮想計算機)に適したI/Oスケジューラの開発の開始,ホストOSに適したI/Oスケジューラの開発の開始,1台の物理計算機あたり稼働仮想計算機数を増加させた場合の既存のI/Oスケジューラの性能の評価と性能劣化原因の調査を行う予定であった. そして,当初の予定通りそれを行うことができた. ゲストOSに適したI/Oスケジューラの開発としては,既存のI/Oスケジューラをベースとして簡易な拡張を施したI/Oスケジューラを作成し,既存のI/Oスケジューラより高い性能を得ることができた.同様にホストOSに適したI/Oスケジューラとしても,簡易なI/Oスケジューラを作成し,既存のものより高い性能を得ることができた.1台の物理計算機あたり稼働仮想計算機数を増加させた場合の既存のI/Oスケジューラの性能の評価と性能劣化原因の調査としては,6台程度の仮想計算機を1台の物理計算機上で動作させ,その性能を調査した.そして,既存I/Oスケジューラの動作の解析システムを構築し,動作解析を行い,既存I/Oスケジューラの性能が仮想化環境で低くなってしまう理由が巨大なイメージファイル間の長距離シークであることを明らかにした. 解析システムの構築と性能劣化原因の発見が達成された意義は非常に大きく,今年度はこの発見された原因をもとに改良を行えば性能向上が得られることが確実という状況となっている.また,I/Oスケジューラの作成が既に開始されていることの意義も非常に大きく,今後は実装化に伴う困難さがなく性能向上のみに注力して実装を進めることができる.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に,I/Oソフトウェアの動作解析環境の構築がなされ,それを用いてI/Oソフトウェアの欠点を発見した.平成24年度は,この発見された欠点を改善し,既存のI/Oスケジューラより優れたI/Oスケジューラを作成する. 研究計画の変更や研究を遂行する上での問題点は発生していない.
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