1 少ない消費電力でハードウェアを再構成するためには、切り替えるデータパス間での共通部分の抽出が重要である。そこで複数のパイプライン間の共通データパスを自動的に抽出し共有化するアルゴリズムを提案および実装し、その効果を評価した。生化学シミュレーションシステムを対象にした評価では、提案した共有化方法により論理要素の66%を削減でき、その際の動作周波数の低下は20%程度であることが確認できた。 2 本課題の遂行のためには、実際にハードウェアを動的に再構成することのできる実験システムが必要である。そこで、通常のPCに装着できるFPGAボード上において、PC側から再構成データを送信することによってFPGAを再構成するための制御回路とソフトウェアを実装した。実験の結果、再構成する回路の構成情報のサイズにもよるが、数百マイクロ秒から1ミリ秒程度での再構成が可能であることを確認した。 3 アプリケーションの特性に応じてデータパスを再構成することで低消費電力化を目指す新たな枠組みとして、楕円曲線暗号処理などに用いられる有限体演算に着目し、体を構成する既約多項式に合わせてデータパスのワードサイズを再構成する手法を提案した。提案手法に基づく回路を設計して評価した結果、最適な既約多項式とワードサイズの組合せを用いれば、標準的な手法に比べて最大60%程度の演算を削減できることを確認した。
|