研究概要 |
1つのノードにGPUボードを複数搭載したマルチGPUクラスタを用いて,リアルタイム処理と倍精度数値計算の高速化を行うことを目的とする.リアルタイム処理として,究極の立体テレビ技術といわれる計算機合成ホログラム(CGH)を扱う.CPUを介さず,直接,計算結果を反射型液晶パネルに出力し,立体像をリアルタイム再生するため,マルチGPUクラスタ向きの計算である.また,倍精度数値計算として,電磁波シミュレーションを扱う.産業界で幅広く利用されており,位相誤差の低減が重要であり倍精度が必要な数値計算である.本年度は,12枚のGPUボード(Fermi)を搭載した4ノードマルチGPUクラスタシステムの構築を行った.ネットワークとして,ギガビットイーサネットとInfinibandを使用できるようにした.CGH計算においては,通信量が少ないことからギガビットイーサネットを使用して計算高速化を検討した.その結果,CPU(Intel Corei7 930,8スレッド使用)に比べ約1,600倍の計算高速化を実現した.また,3枚のGPUボードを用いて赤,青,緑のCGH計算を行い,約3千点の3次元物体のカラーリアルタイム再生を実現した.電磁界シミュレーションでは,FDTD法を扱う.FDTD法はメモリアクセスが多い数値計算であり,メモリバンド幅がボトルネックとなる.本年度は,FDTD法をGPUで計算したときの最大理論性能を割り出した.また,FermiアーキテクチャのGPUボードを用いたFDTD法のプログラム開発を行った.Fermiアーキテクチャでは,共有メモリの1部をL1キャッシュとして使用することが可能となっており,その効果についても検討した.
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