研究概要 |
コンピュータによって作られたホログラムを計算機合成ホログラム(CGH)という.CGHに再生光を照射することにより3次元物体を再生することができる.眼鏡を必要とせず,視覚疲労がないため究極の立体映像技術として期待されている.しかし,CGH計算の演算量が多いことと,CGHを表示する反射型液晶パネルのような高精細な電子デバイスを必要とするため,未だ実用化されていない.CGH計算はデータ量に比べ計算量が多く,計算結果を反射型液晶パネルに出力し,立体像をリアルタイムに再生するためGPU向きの計算である.また,複雑な3次元物体を再生するには高解像度のCGHが必要となる.本研究において,FermiアーキテクチャのGPUボードを12枚搭載した4ノード構成のマルチGPUクラスタにCGH計算を実装した。高解像度のCGHを12分割し,各領域を各GPUに割り当てて計算を行う.ノード間通信も全GPUの同期のみであり,計算に使用する3次元物体点座標データ量に比べ,計算量が多いことからマルチGPUクラスタ向きの計算であり,理想的な計算高速化を実現する可能性が高い.計算高速化について検討した結果,2,048点で構成された3次元物体による6,400×3,072の解像度のCGH計算ではリアルタイム再生が可能であることが確認された.また,4,096点で構成された3次元物体による6,400×3,072の解像度のCGH計算において,CPU(lntel Corei7 930,8スレッド使用)に対し,1,600倍の計算高速化を実現した.また,本研究において倍精度数値計算として,計算精度が必要な電磁波シミュレーション(FDTD法)も扱った.Infinibandを搭載したマルチGPUクラスタに実装し,その計算性能について検討した.
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