研究概要 |
高齢者などの情報弱者が高度なサービスを享受できるための情報環境の構築を目的とし,今年度は1.進化・発展フレームワークにおける利用者・環境・情報システムの情報収集・管理機構の設計,2.進化・発展フレームワークにおける情報システム進化・発展機構の設計の2点に焦点を当てて研究開発を推進した.1に関して,本研究では情報システムを自律性・協調性を有するエージェントの集合体として構成する手法を採用している.情報システムの動作環境はエージェント処理系とその実行環境を提供するコンピュータからなり,それらは様々なアプリケーションやコンピュータプラットフォームの出生・消滅により変動するものである.そこで,これらの外部変動状況を環境情報として収集・管理する仕組みの検討を進め,環境情報の収集機構のプロトタイプを開発した.また,単一環境における情報システムの監視アーキテクチャを試作し,メッセージによる情報収集を介して情報システムの変動状態を測定できる仕組みを確立した.2に関して,情報システム進化・発展機構と情報システムコンポーネントリポジトリでやり取りされるデータモデルを設計した.続いて,進化・発展機構の基本アーキテクチャとして,分散環境向け帰還型マルチエージェントフレームワークの設計・試作を行い,同フレームワークの利用により情報システムの永続性が実現されること,及び,情報システムの効率的な利用が可能になることを確認した.さらに,異種エージェントの組織化機構・協調処理機構の設計・試作を行い,コンポーネントリポジトリを軸とする性質の異なる情報システムの共生の有用性を確認した.
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