本年度は,大量のセンサデータをリアルタイムに分析し,必要な情報処理を行うためのマルチエージェント指向センサ情報処理技術と,様々なサービスに対応可能な汎用性の高いセンサシステムのためのエージェント知識の自律的変更技術の総合評価を目標に,1.実験,2.総合評価の2項目に関して研究開発を推進した. 1. 実験 昨年度に実装したプロトタイプシステムを用い,本研究の提案手法である中間ホストにおけるエージェント指向センサ情報処理技術およびセンサ情報処理のためのエージェント知識の動的変更技術を適用した,観測対象者の動作推定を行う評価用のプロトタイプシステムを構築した.これは,昨年度に実装したプロトタイプシステムに機能を追加したものである.実験の結果,センサ情報処理のためのエージェント知識の動的変更技術により,センサデータ処理に用いるエージェント知識を環境に応じて適切に変更することが可能となり,従来の手法と比較して環境への適応度の高いシステムが実現された.また,この機能の実現には,比較的高い処理能力を持ち,かつ外部のネットワークに大量のデータを送信する必要のない,中間ホストにおけるエージェント指向センサ情報処理技術が必要であった. 2. 総合評価 実験結果から,センサノードの近くに存在するホストにおける様々なサービスに柔軟に対応できる知的データ処理を可能とする本研究の提案手法により,外部ネットワークへの影響を抑えた汎用性の高いセンサシステムが実現されることが示された.また,今後の研究課題として,センサノードの近くに存在するホストだけではなく,サービスや環境に応じてセンサデータを処理する場所を柔軟に変更することのできるシステムの着想を得た.以上の研究成果を国際会議1件,国内会議2件で発表した.また,海外論文誌1件に投稿した.
|