研究概要 |
本研究は,数十機から数百機の低軌道衛星からなるネットワークである「低軌道衛星ネットワーク」のエミュレータを開発し,インターネット標準のTCP/IPやこれまでに提案されている低軌道衛星ネットワーク用の各種通信制御方式の性能を実験的に検証することを目的とする。衛星ネットワークの中でも,低軌道衛星ネットワークはその衛星軌道の低さから伝搬遅延が特に小さく,伝搬中のロスを抑えることができるという利点があり,従来から低軌道衛星ネットワークのIP化とインターネット標準のTCP/IPプロトコルによる地上インターネットとのシームレスな接続・統合の実現が世界的に期待されている.そこで,本研究により,低軌道衛星ネットワークの通信制御に関して実用的な側面からの評価を充実させ,低軌道衛星IPネットワークの早期の実現に貢献することを目指す. 本年度の実績は(1)エミュレータのプロトタイプの規模拡張およびエミュレータ上の動的経路制御の実現,(2)エミュレータのIPv6化に備えた端末管理技術の研究開発である。まず、前年度の成果として仮想マシン1台が1機の衛星をエミュレートするエミュレータの規模を前年度の9台から120台まで大幅に拡張した.そして動的経路制御を行うより現実的な環境を構築することができた.また,ネットワークエミュレータのIPv6化に向けた検討を通じて着想したエミュレータ内の通信監視技術に関して検討を行い学会において発表した.
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