平成22年度は当初、シミュレーション環境の構築と既存アルゴリズムの検証を行う予定であった。しかし、既存アルゴリズムの検証を行うにあたって、昨今普及が急速に進んでいるスマートフォンもターゲットに入れた方が良いと判断し、シミュレーション環境の構築とスマートフォンの基礎データの調査を行った。 シミュレーション環境の構築では、シミュレーションのベースソフトウェアとして、The Oneシミュレータ及びNS3の調査をおこなった。The OneはDelay-Tolerant Networkに特化したシミュレータであり、おおざっぱな動作検証を行うのに向いていることが分かった。また、NS3は比較的ミクロなシミュレータであり、狭い空間に限った無線動作のしミューレションに向いていることがわかった。今回の目的で利用する為にはある程度の動きをThe Oneでシミュレーションし、その上に情報流布アルゴリズムを構築することとした。また、細かな動作確認にはNS3を活用することとした。 また、スマートフォンやタブレットPCを用いて車車間通信に活用できるかを検証した。検証した結果、無線リンクとしては最大で約200mの通信距離を確保することができ、問題なく車載機として活用できることがわかった。一方で、スマートフォン等は鞄やポケットに入れたままにされることが多く、GPSによる位置の検出が難しい。よって、位置が検出できない時でも効率的に動作するアルゴリズムが必要なことが明らかとなった。このため、スマートフォン向けのアルゴリズムを開発し、動作検証をおこない、良好に動作することを確認した。
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