研究課題
研究実施計画に沿って研究を進め、まず、コグニティブ無線ネットワークにおいて生じる複数の最適化問題を定式化し、それらの問題の目的関数を実ネットワークで自律分散的に直接解くアルゴリズムを構築した。この提案手法の有効性を、大規模なコンピュータシミュレーションによって検証し、複数の問題に対して有効に動作することを示し、また、従来手法と比較し、提案手法の利点を明らかにすることが出来た。さらに、実際の無線ネットワークでの有効性を検証するために、ノートPCと実際の無線ネットワークを用いた実験ネットワークを構築し、コグニティブ無線ネットワークの標準仕様に則ったプロトコルを用いて、提案手法と複数の従来手法を実装し、動作させた。この実際の無線ネットワークを用いた実験においても、提案アルゴリズムが有効に動作することを明らかにした。さらに、自律分散型最適化アルゴリズムの性能を支える数学的理論についても検討を行った。カオス理論を用いた自律分散型アルゴリズムによって、ネットワークをより最適な状態に収束させることが可能であることを理論的に示し、従来法と比較して性能が向上することをコンピュータシミュレーションによって明らかにした。また、そのような理論を基に、理想的なダイナミクスが持つ時空間構造を明らかにし、さらに、そのような時空間ダイナミクスを自律分散的な探索解法の中で実現するためにフィルタを用いるアルゴリズム提案した。そのようなフィルタを探索解法に適用するのみで、アルゴリズムの性能を大幅に改善できることを示した。
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http://haselab.ee.kagu.tus.ac.jp/~hasegawa/papers.html