平成23年度までに構築した異種無線ネットワークの自律分散型最適化アルゴリズムを,実無線ネットワークにおけるシステムパラメータの変動や品質の変動に対応したアルゴリズムに拡張させた.具体的には,適応変調による通信速度やQoSの変動,端末の移動による品質の変動に対応させた形式に,最適化問題の定義を修正した.まず,実際の無線LANを用いた実験により,適応変調によるレートアダプテーション,距離減衰による品質の変動を測定し,その測定結果をシミュレーションによって検証した.十分なデータを収集した上で,変調方式と品質のデータを,最適化問題の定式化に組み込んだ.この問題を提案アルゴリズムで解くことにより,現実の無線ネットワークにおける有効性を改善させた. また,平成23年度までに構築した無線リソースを束ねるアグリゲーションアルゴリズムにおいても,変更可能なパラメータを追加し,そのスループットを改善させた.まず,様々なシステムパラメータを変更させた予備実験によって多くの測定を行い,転送プロトコルの変更によってスループットをさらに改善できる場合があることを確認した.そこで,転送プロトコルも調整するように,アグリゲーションアルゴリズムを拡張し,これによって提案手法の性能を改善した. 平成24年度は最終年度であったため,これまでの成果をまとめ,論文や国際会議,国内学会での成果発表を積極的に行った.本研究に関する成果としては,平成24年度に採録された論文は4本,また関連する国際会議発表は14本,その他に招待講演も3件あった.
|