研究概要 |
本研究の目的は,環境への負荷軽減(エコ)と利用者が要求するサービス品質(QoS)を同時に考慮しつつ,利用者の手を煩わせずに安定したネットワークサービスの提供を実現するシステム構成論を確立することである.具体的には,サービス利用者にエコであるということを気づかせずにサービス提供を行うことで消費電力を節約し,かつ利用者の満足するサービスを利用者要求や計算機/ネットワーク状況に応じて動的に提供する,すなわちエコアウェアかつQoSアウェアなサービス提供のためのシステムフレームワークの実現を目指している. そこで本研究では,エージェント指向コンピューティングに基づくコンポーネント組織の動的構成手法を発展させ,環境指向かつ利用者指向のマルチメディア通信システムを構成する.そのために,エコアウェアかつQoSアウェアなシステムとして実現するためにエコ余裕度とQoS余裕度のモデルを構成し,それに基づくエコアウェアエージェントとQoSアウェアエージェントを構成する.さらに,利用者指向システムとして実現するために,エージェント指向コンピューティングに基づくコンポーネント組織の動的構成手法の基盤技術に基づき,ネットワーク・計算機資源などの環境の変動や利用者要求の変化に対応して,システムを構成・調整するエージェントフレームワークを実現する. 特に,本年度は,エコアウェアかつQoSアウェアなシステムを実現するために,以下の3つの評価基準およびモデルの構成を行った. ・システムの安定を保持しつつ,エコな状況に制御可能である程度を定量化するエコ余裕度の構成 ・QoS制御の制御可能性を定量化するQoS余裕度の構成 ・エコ余裕度とQoS余裕度に基づく余裕度モデルの構成
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にしたがって研究を遂行したため,大幅な遅れが発生することなく研究を遂行することができた.しかしながら,計画時に使用予定であった実験環境が東日本大震災により使用不可となったため,震災後の実験環境の構築に時間がかかり,それ以上の研究の推進は困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
実験環境が構築されたため,今後は当初の予定通りに研究を推進する予定である.特に,今後は学会発表や論文誌への投稿を積極的に行い,単に研究を進めるだけでなく,研究の成果を公開して行く.
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