インターネットにおいて、映像などのデジタルコンテンツの不正利用を抑止するために、近年、大量のビデオデータベースの中からビデオの違法コピーを高速かつ正確に探し出す技術が強く求められている。従来の手法では、正規化された画像の輝度情報を特徴として利用しているので、画面上照明変化と動きに対応しきれない。本研究では、差分量子化によるヒストグラム特徴を用いて、時系列アクティブ探索法と組み合わせて、ビデオの違法コピーを高速かつ高精度に検出する手法を試みた。今年度の研究成果は以下のようになる。 フレームレートなどビデオの編集による影響を対応できる手法を検討した。フレームレートの変化によって、1秒間のフレーム数が異なってくる。その対応方法として、まず、ヒストグラム上での正規化によるヒストグラム同士の時間窓内の特徴ベクトル数の同じにすることで、フレームレートの変化の影響を低減させる。また、間引きによるフレームレート合わせ手法を検討し、フレームレートが29.97fpsから15fpsに変わっても安定的な検出を実現した。 また、前年度には差分量子化による特徴と領域の輝度順序情報を組み合わせた手法を提案し、良い結果を得たが、まだ誤受け入れなどがある。違う画面なのに同じシーンに認識してしまうケースを見れば、15秒フレームの中に、似ている部分が多い。ヒストグラム特徴を用いた手法は時間窓内のフレーム全体の特徴を見ているので、似ている部分と似ていない部分が混同していて、一緒に計算しているので、検出しにくい。そこで、時系列の分割を加えた組み合わせ手法を提案した。いくつかの部分を分割することによって、似ている部分と似ていない部分を分けられる可能性が出てくると考えられる。時系列の分割による手法はより安定的な検出を実現した。汎用のPCを用いて、6時間分のMPEGビデオデータから30秒の参照信号200本を探索する結果、従来の高速探索手法によりロバスト性の高い1%のERRを実現した。
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