平成22年度は、センサノード数の疎なモバイルセンサネットワークにおいてプッシュ型放送を用いて、適切な情報をセンサノードに与えることで、データの収集効率を向上させる方式を考案した。まずは、センサノードが取得したすべてのセンシングデータを収集することを前提に、センサノードの制御方式を検討した。センサノードの密度が疎なために、通常、各センサノードは他のセンサノードと通信可能な状況にはなく、孤立している。そこで、データセンタからプッシュ型放送を用いて、ノードの位置を放送することで、センサノードに他のセンサノードの情報を提供する。センサノードが取得したセンシングデータをデータセンタに転送するには、ノード数が少ないため、データセンタまでマルチホップ通信を用いる。このマルチホップ通信を実現するためのネットワークを構築するには、フィールド上のセンサノードが必要な場所に移動する必要があるが、一部のセンサノードだけでネットワークを構築するよりも、すべてのセンサノードでネットワークを構築する方が収集効率が高いことが明らかになった。また、センサノードの移動コストが非常に大きいことが、その原因であることが明らかになり、ノードの移動戦略について検討した。検討した手法に関して、シミュレーション実験を行い、その有効性を確認した。
|