本研究では、プッシュ型データ配信を用いて疎なモバイルセンサネットワークからさまざまな要求に応じたデータ検索・収集を効率よく実現する方式の確立を目的として、(1)ノードの移動方式およびデータの検索・収集方式、(2)プッシュ型の放送における提供情報の検討およびスケジューリング方式の検討を行った。想定するセンサネットワークではノードが非常に疎に配置されているため、センシング中は他のどのノードとも基本的に通信できず、周囲の状況を知ることができないため、データセンタまでの通信経路などをプッシュ型放送を用いて配信することで、ノードが自律的に行動する手法を考案した。 また、センシングデータをデータセンタに収集する際には、複数のノードで形成した一時的なマルチホップのネットワークを利用する。一般的にアドホックネットワークなどのマルチホップ通信では、周りの環境によって正しく通信できず、エラーが発生することが多い。そこで、ノードが集まってきた状況で、あるノードとノードの間での通信が正しく行われなかった場合に、周りのノードが代わりにデータを転送することによって、データの収集効率を低減しない手法を考案した。 以上の提案手法に関して、シミュレーション実験による評価を行い、その有効性を確認した。
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