研究概要 |
本研究は,"事例参照型の非写実的画像合成"に関する課題を"画像修復問題"の1つとして捉え直して解決することで,出力(絵画風画像等)の飛躍的な品質向上と表現の多様化を目指すものである.事例参照型の非写実的画像合成は,処理対象画像にたいし参照画像の持つ視覚的特徴を付与することで参照に類似した出力画像の獲得を目指すものである.本研究では,処理対象画像を画像修復問題における"欠損領域"とみなすことで,画像修復問題の解決のために従来提案されてきたエネルギー関数や高性能アルゴリズムを本研究に応用展開でき,当該分野の発展に大きく寄与するものと考える.ここではとくに,次の3項目を本研究成果として挙げることが出来る. 1.エネルギー関数のカスタマイズ.これは"色彩/配色類似性","テクスチャのシームレス性","テクスチャの局所性"を考慮した最適な関数を再定義するものである.3項の加重和として設計されたエネルギー関数の重みをカスタマイズし,"テクスチャの局所性"を重視した設計とした. 2.上記1で定義したエネルギー関数を用いた試行実験の実施.エネルギー関数を局所的に最適化する手法で試行した.その結果,従来よりも自然な出力画像例を獲得することができた. 3.最適化アルゴリズムの試行.上記2の結果を踏まえ,出力画像全体でエネルギー最適化するアルゴリズムについて検討し,階層的確率伝搬法に基づく手法のための定式化を行った.さらに,これをプログラムとして実装,実験し,出力品質を従来よりも向上させることが出来た.
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