研究概要 |
近年,XMLは様々なデータを表現するために活用されている.XML文書の構造はW3C XML SchemaやRELAX NGなどのスキーマ記述言語で記述される.しかし,スキーマ設計時において相互運用のための共有性やデータ更新に対応するための拡張性をもつスキーマを設計することは一般に難しく,それを支援するような仕組みや枠組みも十分であるとは言い難い.そこで,本研究では,概念モデルと間合せ集合を利用したスキーマ設計および,情報保存を考慮したスキーマ更新の支援を行う手法を与えることを目的としている.本年度はまず,XML文書に特化した既存の概念モデル,およびXML文書におけるキー制約や関数従属性といった諸性質に関する研究調査を行った.その上で,スキーマ更新時に既存文書の情報が変換後の文書でも保存されることの定式化をスキーマ更新の柔軟性も十分考慮した形で行うためには,概念モデルと論理モデルとで独立した情報保存の定式化を行う形をとることが必要であると判断した.そこで,はじめに論理モデルでの情報保存の定式化を検討し,その後にそれと整合性が取れる形で概念モデル上での情報保存の定式化かつそれが可能となるモデルを検討するという形に計画変更を行った.そしてまず,論理モデルに関する情報保存の条件として既に提案されている問合せ保存という性質について,どの程度の能力をもった間合せクラスまでならばその性質が満たされるかどうかが決定可能かを調査した.その結果,木構造データに対して,一部の問合せクラスについては決定不能であることが示されているが,XML変換/問合せのモデルとして用いられる木変換器のクラスについては明らかにされていないことがわかった.来年度は,一般に現実的に十分な能力があるとされている)肌変換のクラスにおいて,問合せ保存判定問題の決定可能性の検討および問合せ変換手法の開発を行う予定である.
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