本研究は、運動解析と形状計測を同時に行うシステムの構築を目指しており、本年度における主な研究目標は、田の字型マーカ計測における計測精度の向上、認識速度の向上、計測誤差の確認である。田の字型マーカの画像解析による位置検出は可能となっており、ビデオカメラの記録画素数の制限、記録フレームレートの制限が問題として残っている。現時点では1920*1080@60pという解像度とフレームレートが現実的な計測機器環境となるが、これらは技術発展とともに高解像度化、高速化していくものであり、時代とともに計測精度、計測誤差は向上していくと考えている。現時点では計測精度、計測誤差ともに他の計測システムほどの精度は出すことはできないが、4K解像度のビデオカメラや高速度な計測機器が実験に使えるレベルに達すれば、実用的なシステムとして使用可能である。認識速度の向上においては画像処理プログラムの並列化とPC間での分散処理を行ったことにより、4-10倍程度の高速化を達成した。 本年度においては光学方式のモーションキャプチャ装置を用いて運動計測を行い、400箇所以上の計測ポイントで計測を行ったが、既製品の計測プログラムでは並列計算に対応していないため、コンピュータの性能限界による計測限界があった。既製品の制限にとらわれない、独自の並列計算に対応した計測システムの必要性が増した。一方で、マーカ数が増えるとともに、計測実験の際の準備と片づけの時間が数時間を超えるなど、より時間負担の少ないマーカの必要性が挙げられた。
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