本研究年度における研究実施内容は以下の通りである。まず当該研究分野において最先端の技術発表・展示が行われる国際会議であるSIGGRAPH(米国)に参加し、コンピュータ・グラフィックスにおける手続記述法に関するアルゴリズムの調査を行うとともに、他の研究者との意見交換を行った。その結果、人工物に関する手続的描画技法の研究に関して多くの知見を得ることができた。また、近年では3Dプリンタ等を応用したデジタル・ファブリケーションに関する研究が非常に多くなっていることが確認でき、他の研究者との意見交換においても、実体物として三次元データの出力を行い実際の装飾との比較を行うことが、より効果的な研究成果の提示につながるというアドバイスを複数得た。基礎技術研究として、まず本研究課題のテーマである装飾的な表現を行う描画アルゴリズムを実現するため、メタボールを用いた二次元テクスチャを立体の三次元形状モデルへと変換して描画する技法の実験を行った。また、パラメータの変化に応じてメタボールの融合状態がどのように変化するか調査し、実在する装飾文様に適した融合状態を出力するパラメータの抽出を行ったが、これについては最良のパラメータ抽出が完了していないため、次研究年度においても継続して行う。以上までの基礎技術の成果について国際学会誌への論文投稿を行った(本報告時点において査読中)。また本研究年度中に、本研究課題の基盤技術となるメタボール描画に関する国内特許出願の特許権が認められた。
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