研究概要 |
斜面上に敷設したセンサネットワークを介して地中の間隙水圧値を取得・分析し,崩壊の予兆を検知する斜面防災システムには,運用コストが大きいという問題がある.運用コストの主要因は(1)センサやネットワークノードの故障・不通時の現地メンテナンスコスト,(2)崩壊予兆判定基準設定のためのデータ確認・分析コストである.そこで(a)ネットワークノードの電池寿命長化,及び,(b)故障・不通発見時の現地対応時期調整により,コスト(1)(2)を削減する. 2010年度は,(a)ネットワークノードの電池寿命長化について,センシング間隔を調整するための手法と,センシング間隔を変えたときのネットワーク寿命の変化を手動で検討するためのシミュレータの実装について検討した.シミュレータ上で用いるための消費電力モデルを提案した. また,適切な消費電力モデルを用いたときに,当該モデルに基づいてセンシング間隔を最適化するための手法を提案した.提案手法では,センシング間隔に応じて変化するデータ品質と,ネットワークの寿命を最適にトレードオフする.また,(b)故障・不通発見時の現地対応時期調整では,各ネットワークノードに接続された各センサのセンサデータ履歴を参照し,テンシオメータ群をクラスタリングする手法を提案した.具体的には,センサ群を,斜面崩壊予兆検知への影響が類似するもの同士でグループ化する.(a)(b)の成果により,運用コスト(1)(2)の削減が期待できる.(a)(b)に関する成果をそれぞれ情報処理学会および国際会議ICCEE'2010で発表した.
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