研究課題/領域番号 |
22700111
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
原田 史子 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (30454515)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | センサネットワーク / データマイニング / 運用コスト削減 |
研究概要 |
現在,豪雨による山の斜面崩壊が問題となっている.斜面上に敷設したセンサネットワークを介して地中の間隙水圧値を取得・分析し,崩壊の予兆を検知するシステムが研究されているが,運用コストが大きいという問題がある.本研究では,(a)ネットワークノードの電池寿命長化,(b) 故障・不通発見時の現地対応時期調整,(c) 斜面崩壊予兆の判定基準の自動推薦の三つにより運用コストを削減する. 平成24年度の計画では,(b)について,平成22年度までの成果を拡張し改善の検討を行った.平成23年度では,斜面のセンサデータと代替実データの共通する性質である (1) センサ値が互いに関連する可能性があるセンサネットワークである,(2) センサデータによって特定の状況を検出できる,(3) 全てのセンサデータを状況検出に用いる必要があるとは限らない,という性質を用いた運用コスト削減のための手法を考えた.この手法の有用性を,平成24年度において評価した.また,本手法を斜面崩壊の予兆検知に適用する方法を平成24年度において検討した. 具体的には、(b)の手法においては、ある状況を検出するために使用する候補となるセンサが多数ある場合に、状況検出に真に必要なセンサ群の組み合わせを抽出することで、必要なセンサ数を削減する。本手法において、ある状況が生じているか否かを判定する様な、システムにおいて取得不可能な数値と、センサ値の変化の類似性を解析することで、必要なセンサを抽出する。本手法を斜面崩壊の予兆検知に利用する場合、ある状況が生じているか否かを判定する数値として、降雨量が考えられる。降雨量の変化と類似した変化を示すセンサノードを抽出し、そのセンサノードからのセンサ値のみを予兆検知に利用することで、使用センサを削減でき、運用コストを削減できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,斜面崩壊の予兆検知のためのセンサネットワークから得られた実際のセンサデータを評価に用いつつ,運用コスト削減手法を開発することを目指していた.しかし,平成23年度において,実際のセンサデータでは斜面崩壊の予兆がなく,類似した代替データを用いざるを得なかった.まず斜面崩壊予兆検知のためのセンサデータと,代替データの共通する性質のみを利用した手法開発を行うことになったため,当初からやや遅れる形となった. しかしながら、当初計画していた三つの運用コスト削減法(a)ネットワークノードの電池寿命長化,(b) 故障・不通発見時の現地対応時期調整,(c) 斜面崩壊予兆の判定基準の自動推薦の三つにより運用コストを削減する、のうち、(a)、(c)についてはほぼ見通しが立っていると考えられる。(b)については、代替データを前提とした手法を、どのように斜面崩壊の予兆検知に利用できる形に拡張できるか検討する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究目的で挙げた運用コスト(1)は,(a)ネットワークノードの電池寿命長化,及び,(b) 故障・不通発見時の現地対応時期調整により削減する.また運用コスト(2)は,(c) 斜面崩壊予兆の判定基準の自動推薦により削減する. 今年度は(b)に関する研究および,(a)-(c)の統合についての検討を遂行予定である.(b)は,あるセンサやノードが故障・不通になったとしても,そこから取得されるデータなしに斜面崩壊予兆が判定できるならば,即座に現地対応する必要はないという考えに基づく.本手法を開発するにあたって,実際のセンサネットワークから取得されたデータを分析することが必要である.昨年度は,代替データに対する上記(b)の手法を提案しその有用性を評価した.今年度は(b)の手法の,斜面崩壊検知のためのセンサネットワークに対する拡張を検討する.また,過去提案した(a)-(c)の手法について,統一的な枠組みによる手法の統合を検討する. (b)における提案手法は,実際のセンサネットワークから得られるデータを用いて,統計的手法あるいはデータマイニング手法を利用して開発される.したがってデータ整理・分析のための謝金を執行予定である.また,無線センサネットワーク関連,統計学関連,データマイニング関連,プログラミング関連の図書を購入予定である .(a)--(c)に関する研究成果を国際または国内会議で発表するための旅費が必要である.
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