研究概要 |
平成22年度は,研究目的の頁で述べた目的のうち,[目的1]人間とデバイスの分光感度特性の違いを利用した映像盗撮防止方式の検討を行った.盗撮方式の検討にあたっては,ノイズ光の視覚的劣化を抑えながら撮影時の妨害効果を向上することが重要であるため,本研究の課題として下記の3つに取り組んだ. (1-1)人間とデバイスの感度特性の分析による最適なノイズ光源の選定 ノイズ光源として用いる赤外線LEDの分光感度特性はスペクトルに幅を持つため,ピーク波長が可視域に近すぎると人間の目に赤色として知覚される.逆にピーク波長が可視域から離れすぎるとカメラ撮影時のノイズ効果が弱まる.そこで主観評価と撮影画像の分析により,最適な近赤外線LEDを選定した. (1-2)ノイズ光源の時間変化によるノイズ効果の向上 (1-1)で選定したノイズ光源(近赤外線LED)の時間変化によるノイズ効果の向上を検討した.可視光源が点滅する場合には,Bartley効果により,点滅周波数が10Hz前後の場合に人間の視覚は最も強い感覚を生じるため,近赤外光源を撮影した映像においても当該効果が成立するか主観評価実験(ITU-R二重刺激法)により検証した. (1-3)映像コンテンツの内容に応じたノイズ光出力の適応的制御の検討 前述したように,LEDのノイズ光の照射出力を上げると人間の目に赤色として知覚され,照射出力を下げるとカメラ撮影時のノイズ効果が弱まる.そこで,表示される映像コンテンツのマスキング効果の程度を算出することにより,ノイズ光の照射出力を適応的に制御する機構を検討した.
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