研究概要 |
本研究では,3次元形状を備えた霧スクリーンを空中に構成し,そこに映像を投影することで,簡易かつ手軽に空間立体像提示を実現するシステムの実現を目標とした.従来の霧スクリーンは平面が主体であり,立体感を備えた映像提示が困難であった.また,実現する装置が特殊かつ大がかりであることが多かった.それを踏まえて、昨年度は,身近に利用可能な機材のみを用いてスクリーンの提案を行った.超音波震動子によって霧化された霧を,電動ファンによる空気流を用いてダクトに流し,さらにそのダクト先端を細いダクトの集合体として構築することで,流速の高い細い霧流の束を構成することを可能にした.そして,このダクト先端を複数用意して配列状に配置し,その内部にソレノイドを用いた開閉機構を組み込むことで,配列状の霧噴出口からの霧出力を自由に制御することを可能とした.これにより,これまで平面が主体となっていた霧スクリーンの形状を,自由に制御することが可能-になった.本年度はこの提案システムを実際に構築し、映像投影実験を行った.その結果,映像に合わせた奥行き情報を備えたスクリーンを構築可能となり,観察者の視点移動に応じて適切な視差を発生させ,平面霧スクリーンとは違った高い立体感を提示可能であることを確認した.また,動画像に対してもその奥行き変化に応じて霧スクリーン形状を変化させることで,臨場感の高い運動視差を備えた立体像提示が可能であることを確認した.
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