研究概要 |
本研究の主たる目的は,日常生活における実世界情報環境の構築への貢献である.具体的に3つの目的を設定する.一つ目は,素材の形状や性質の変化を「認識」することで入力インタフェースとする技術の開発である.二つ目は,素材の形状や性質を「制御」することで情報提示メディアを創出することである.三つ目は,それらの組み合わせによる実世界中でのインタラクションの提案である.この中で、本年度は以下の三つの研究項目に取り組んだ. 1.透明弾性体の変形認識を利用した入力インタフェースの実装及び素材の調査:従来から開発してきた透明弾性体と透明マーカを用いて画像処理により力覚情報を取得する基本原理を用いて,映像操作など,素材の変形を利用した柔らかいタンジブルインタフェースの応用可能性について検討を行い,アプリケーションを実装した. 2.紙の変形を用いたインタラクションの基礎検討:上記の弾性体に留まらず,実環境の様々な素材の変形,変性などを手がかりとした入力手段の予備的な調査を行った.その中で、紙の折り曲げやゆがみ具合を,アクティブステレオ法により特別なマーカを用いることなく識別し,さらに映像をその表面に投影することにより入出力インタフェースとして機能するシステムを開発した. 3.シャボン膜の変形制御を利用したディスプレイモジュールの開発:素材形状を制御することによる情報提示への取り組みとして,空気の噴出・吸入によりシャボン膜の形状を変化させるための装置を開発した.アレイ状に並べることにより,情報ディスプレイを構築した.また,シャボン玉の割れ等の状態検知に関しては電気的な制御で基礎的な動作を実現した.
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