研究課題/領域番号 |
22700128
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
筧 康明 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40500202)
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キーワード | オーガニックインタフェース / 拡張現実感 / 画像処理 / 実体ディスプレイ / タッチインタラクション / タンジブルインタフェース |
研究概要 |
今年度は、主に以下の二点に関して研究を進めた。 まず、素材の形状の制御による実体ディスプレイである。具体的には、アレイ状に配置されたシャボン膜の膨張・収縮を利用したディスプレイShaboned Displayに関して検討を進めた。継続的な膨張・収縮のためのシャボン液の組成、シャボン膜生成の為の噴出口の素材の比較、タッチインタラクションのためのシャボン膜の破裂検知の精度などに関して検討し、その成果を日本バーチャルリアリティ学会論文誌にまとめた。また、シャボン膜の膨張・収縮に加えて、移動による新たな情報表現の可能性を求めて、装置構成の基礎的な検討を行った。 次に、素材の形状や姿勢の変化による入力インタフェースの開発である。素材として紙に注目し、その変形および姿勢の入力に関して検討を進めた。紙の変形を利用した入力インタフェースとして、テーブル型ディスプレイの内部に設置されたプロジェクタとカメラによるアクティブステレオ法を利用したインタラクティブシステムMetamorphic Lightを開発した。マーカ等を印刷・貼付することなく、紙を押す、つまむ、ひねるなどの操作を検出し、それを投影映像のコントロールとして利用する基本的なインタラクションを実現した。また、紙の姿勢を利用した入力インタフェースとして、紙の楽譜を入力ツールとして利用したインタラクティブシステムに関する検討も行った。これは、通常の紙楽譜に印刷された音符情報の位置関係をカメラで取得し、楽譜の種類、位置、向きをリアルタイムに検出、音響/映像情報として出力するものである。今後、精度向上などの課題と共に、これらの基本システムを用いたアプリケーションの提案へとつなげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
素材の形状変化を用いた入出力インタフェースという課題に対して、入力インタフェース、出力ディスプレイの両面で提案を行い、基本的なシステムの構築を行うことができており、概ね計画の通りと言える。入力(形状検出)と出力(形状制御)を両方兼ね合わせたシステムに関しても、さらに検討を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに開発してきた基本システムに関して、リアルタイム性の向上や精度向上などの改良を加える。 また、具体的なアプリケーションの提案・実装を行い、実際の体験を提供するための展示の場を積極的に設けたい。 その中で、ユーザや体験者の様子をシステムへのフィードバックとしてまとめることを検討している。
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