本研究は、身振り手振りなどの身体性(身体のはたらき)を拡張した映像表現により、発表者と参加者が相互に引き込み合う手法を確立し、一体感、共有感が実感できるプレゼンテーションルームを開発することを目的としている。 具体的には、昨年度に引き続き、発表者の強調・指示動作を拡張して、部屋全体で参加者を引き込むことを目的に、各種デバイス、インタラクション手法の開発を行った。たとえば携帯型タッチスクリーンデバイスを用いた身体拡張型プレゼンテーション支援システムPPTouchの開発では、情報機器を介することで、身体を拡張させるプレゼンテーションを実現し、既存のデバイスとの比較評価に続き、聴講者による評価も行い、有効性を明らかにした。現在は、App Storeでの一般公開に向けて準備を進めている。対象をタブレット端末に広げたプレゼンテーション支援システムも開発し、遠隔でプレゼンする際などへの応用可能性を示した。 また、プレゼンテーションルーム全体の開発に向けては、CGと指示棒デバイスで身体的インタラクションを促すプレゼンテーション支援システムの改良を行った。とくに、モーションキャプチャによる身体動作の解析から、指示棒の有効性が明らかになったので、CGエフェクトによる仮想の指示棒を使ったプレゼンテーションシステムを開発した。また、このシステムを3スクリーンで部屋全体に拡張したプレゼンテーションルームのプロトタイプを開発し、一体感や共有感が比較的に高まることを確認した。
|