研究課題/領域番号 |
22700134
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
長井 歩 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70375567)
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キーワード | 詰将棋 / 必至 / 探索 |
研究概要 |
該当年度の研究成果としては、非常に難解な将棋の必至問題を計算機で多数解いたことである。将棋の終盤戦をパズル化した問題として、詰将棋以外に必至問題がある。その違いは、攻め側の手として王手以外に詰めろも許される点にある。詰めろとは放置すると次に詰められるような手のことである。詰将棋では攻め側の指せる手は王手のみであるのに対し、必至問題では王手と詰めろで相手の玉を受けなしに追い込む。攻め側の手が増える分、必至問題に強いアルゴリズムは実際の将棋の終盤戦で役立つ機会は詰将棋に比べ格段に多くなる。しかし問題としての難易度は、一般に詰将棋よりも必至問題の方が難しい。 詰将棋を高速に解くアルゴリズムは近年著しく進歩したが、必至問題を高速に解くアルゴリズムは未開拓であった。該当年度の研究にて、難解な必至問題を高速に解くアルゴリズムとしてdf-pn+を応用し実装した。実験の結果、難解な必至問題として有名な『来条克由必至名作集』全81問のうち79問を計算機で解くことに成功した。また、余必至探索にて4つの早必至を含む29の余必至を発見した。余必至とは別解のことであり、余必至はないことが望ましい。『来条克由必至名作集』の問題を解くことは、該当年度の研究実施計画の大きな最終目標であった。 この研究の意義として、これは思考ゲームの終盤戦だけに留まる成果ではなく、定理証明一般に適用できる。その意味で応用範囲は非常に広く、今後の研究の可能性を広げられた意味で意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
該当年度の最大の研究目標は『来条克由必至名作集』を計算機で解くことであった。その意味で研究は順調に進展している。解けなかった2問はいずれも問題に不備がある可能性が高いことも突き止められた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は、前年度に実装した必至探索プログラムを洗練させ、将棋の最終盤問題を解けるようにすることである。必至プログラムは玉は一つ、つまり相手の玉だけが存在する局面を対象としていた。パズルとしての必至問題を解くソルバーとしてはそれでよいのだが、実戦の将棋の終盤戦は双玉問題である。つまり相手玉を詰ますだけでなく、自玉の詰みの回避も視野に入れなければならない。このような意味で、より実戦に近い最終盤の問題を解く必要がある。.
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