研究概要 |
スパース推定法はバイオインフォマティクスや自然言語処理をはじめとする多くの分野で有用性が知られている機械学習の手法である。従ってスパース推定のための高速なアルゴリズムが必要とされている。本年度は第1にこれまでに得られているスパース推定のための高速なアルゴリズムである双対拡張ラグランジュ法を行列に対して拡張し部分観測行列の未知部分の推定や行列上の教師付き判別問題を凸最適化を用いて推定するための高速な学習アルゴリズムM-DALを開発した。この成果をイスラエル・ハイファで開かれた機械学習最高峰の会議であるICML2010で発表し、論文(JMLR)およびMIT Pressから出版される本の一部として公開した。さらにこのアルゴリズムの実装をホームページ上で公開している(http://www.ibis.t.u-tokyo.ac.jp/RyotaTomioka/Softwares/SupportPageICML10)。第2にこれまでの行列に対する学習法の枠組みを高次の配列(テンソル)に拡張可能であることを示し、これをカナダ・ウィスラーで開かれた国際会議Neural Information Processing Systemsに付属するワークショップTensors, kernels and machine learningで"On the extension of trace norm to tensors"(共著者林浩平,鹿島久嗣)というタイトルで発表し、高い反響を得た。この成果は行列の場合と同様に高次のテンソルにおいても凸最適化の手法を用いて未観測部分の推定を含む様々な機械学習ができることを示し、今後の理論、アルゴリズム両面での研究の端緒を切るものである。
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