行列および多次元配列(テンソル)は多次元時系列や関係データの表現として、現実の大規模データ解析において重要な役割を担っている。行列型データは従来のベクトル型データに比べてに要素数が多いため、結果の解釈可能性やデータからのパラメータ推定の計算効率が非常に重要になる。本研究課題では、これまでに行列型データに対するスパース正則化を用いた解釈可能な学習器のパラメータを効率的に推定するための手法の開発およびその性能の理論解析を行なってきた。本年度は今までの成果をさらに発展させるとともに、今までとは異なる行列を用いた学習法への展開を行った。具体的には低ランク多次元配列(テンソル)の推定法として、昨年度までに解析した overlapped Schatten 1-ノルムに基づく手法だけでなく、実験的によい性能が確認されていた latent Schatten 1-ノルムに基づく手法の性能評価を行い、これをテクニカルレポートとして公開した ("Convex Tensor Decomposition via Structured Schatten Norm Regularization" arXiv:1303.6370) また、いままでに進めてきた行列に基づく機械学習の発展として、ニコンの中島伸一博士と共同で変分ベイズ法に基づく行列分解法の研究を行い、ジャーナル論文および、国際会議NIPS2012で発表を行った。また、ベルリン工科大学の Franz Kiraly 博士と共同で低ランク行列補完の代数的・組み合わせ論に基づく必要条件および十分条件の導出を行い、これを国際会議ICML2012で発表した。
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