研究概要 |
平成22年度は,授業設計の動的支援システムの仕様の明確化と関連概念の整理・体系化を行った。具体的な内容は以下のとおりである。 1.学校教育の情報化に関する学校現場での問題点の整理 学校教育の情報化についての現場の状況を,申請者が所属する大学院の院生(現職教員)を中心にディスカッション形式で調査を行った.調査の主な着眼点は,Web上に提供されている学習指導案を基にした「学校教育の情報化に関連して設計された授業の問題点」と,「現場教員にとっての問題点」の2点とした. 2.より効果的な授業の設計を支援するためのシステム仕様の詳細部を明確化 1.で整理した問題点と従来のさまざまな機関による支援の問題点を分析し,本研究で設計する授業設計支援システムの仕様の詳細部を明確にした.特に,教員が考慮すべき各観点における具体的な支援戦略を含む仕様を明確化した. 3.ICTの授業活用に関連した概念の整理・体系化 ICTの授業活用の適切性に踏み込んだ支援を行うために,これまで暗黙的に扱われてきた活用するICTの特徴やその特徴がどのような教育的目的に活かされるかなどを記述するための概念を抽出し,これらの概念をオントロジーとして整理・体系化した. 4.学校教育の情報化に関連した教育目標概念の整理・体系化 適切なICTの授業活用を支援するために,活用する教材の内容が活用する教科の教育目標と対応しているかを考慮し,これまで整理・体系化してきた情報教育の目標だけではなく,通常の教科における教育目標概念も整理・体系化した. 5.教授・学習理論に基づいた文脈的視点からの支援戦略の検討・決定 現職教員との議論を通して,授業設計時に教授・学習理論がどのように役立つか,どのように支援されることが教員にとって望ましいかを調査・整理した.この調査結果に基づいて,OMNIBUSオントロジーを基盤とした活用方法,教授・学習理論に基づいた支援戦略の詳細を決定した.
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