平成24年度は,教授・学習理論と実践から得られた教授知識に基づいた教師の授業設計における内省を支援するシステムの改良と実践での活用を行った。 まず,OMNIBUSオントロジーの枠組みに基づいて,教授・学習理論から抽出された方式知識と同様に,優れた授業実践データから教師の授業力に相当する方式知識を抽出し,昨年度開発した授業設計支援システムFIMA-Lightに組み込んだ。 FIMA-Lightを実際に複数の教師に活用してもらい,授業の設計と改善をしてもらった。昨年度までのFIMA-Lightが生成した授業の解釈(授業展開シナリオモデル)と比較した結果,より詳細で正確なモデルを生成できていることを示すことができた。また,今回の実践活用の中でシステムがどのように貢献したかを定性的・定量的に評価した。その結果,システムが自動生成した設計された授業の解釈は他者による意見や認識と同等と考えることができる質を有していることと,この解釈の提示が教師の効果的な内省を促し,その結果授業の改善につながることを示すことができた。 これまでの実践活用で得られた教師からのフィードバックを参考に,教師がより使いやすく,より効果的な支援を実現するためにインタフェースと概念整理を行った。特に,スタンドアローンのシステムからWebベースシステムに改良したことで,より気軽に本システムを活用することができるようになった。今後も様々な現場での実践活用を続けていく予定である。
|