研究概要 |
本研究の目的は,安全で利便性の高い生体認証システムを開発するために,生体情報の中に潜む認証のために利用可能な情報を統計的な解析により発見することである.研究期間を通して,以下を目標に研究を進めている. A.生体情報中に,それが確かに生体から採取されたことを保証する情報を発見する B.データ処理の効率化による認証精度向上の可能性を明らかにする C.生体情報中に,時間の経過を示す情報を発見する 平成22年度は上の項目のうちBついて,生体情報の種類として指紋画像を対象に,新しい画像分類の手法によって識別の高速化と高精度化を行った.そして,処理時間と精度の間のあるトレードオフを明らかにした.この成果は,生体認証に関する書籍内の記事として採択された.今後は,この成果を他の生体画像へと応用する予定である.また,生体認証を含めた一般的な個人認証について新しい観点から安全性を提起し,これを考慮した認証プロトコルを提案した.この成果は国際会議および論文誌にて発表した.ここでの認証モデルは,画像識別の応用先ひとつとして想定する予定である.また,モバイル環境での画像検索システムを開発し,この成果を国際会議にて発表した.検索画像として,人間の手のひらや顔の画像も対象にすることができ,生体認証についての実装の観点からの制限を見積もることができた.この制限を考慮して,上の項目のAやCを実現する情報を取得するための生体情報の採取方法を模索する予定である.
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